2013年01月22日

家族が変化するとき

家族療法で問題に対応する時には、その問題や症状のみにアプローチするわけではありません。

むしろ、家族や親子関係というものに焦点を当て、その全体を対象としてカウンセリングを試みます。

大事なことは家族のメンバーの中で犯人探しをすることではなく、家族全体のバランスのとり方や変化の仕方を伝えていくことです。

もし、家族の中で子どもが問題を起こした時には、それが家庭の外、例えば学校でのいじめなどの問題行動だった場合にも、その行動そのものではなく、家族や親子関係という背景を見ていくことが大切です。

したがって、家族療法の療法家は、家族全体のシステムについて理解していくことが、とても大きなカギとなります。

大人とちがい、子どもは自分の意思で環境を変えることができず、親子関係や環境の影響を受けやすいため、家族の問題を一身に受けて、なんらかの症状として現すことが多いものです。

知らないうちに、親の都合や感情的な衝突などが、子どもには大きなストレスや脅威となっていることもあるでしょう。

子どもにとっては、生まれてから身近に関わっている家族の存在は、とても大きなものです。

例え、保育園・幼稚園や小学校などで集団生活に馴染んでいき、中学・高校と学外活動などで家を離れる時間が増えていくとしても、精神的・心理的な基盤が家庭であることは事実です。

それは、無意識に刷り込まれていることが多く、子どもが親の行動や言動をいつの間にか模倣し、良い面も悪い面も同じように吸収して表現することがあります。

このように、家族療法では親子の相互関係を読み解いていくことが、とても重要です。

  


Posted by aurevoir at 21:12親子関係と家族療法

2013年01月22日

家族の発達について

親子関係と家族療法について、次に「家族の発達」というテーマについて綴っていきたいと思います。

人には、生まれてから幼年期、思春期、青年期、成人期と、発達の過程があります。
家族にも、これと同じように発達課題があると、家族療法では捉えられています。

その段階は、以下のようになります。

・第一段階 新婚期(結婚から第一子の誕生まで)

この段階は、結婚適齢期に達した男女が実家から自立し、夫婦関係を築くこと、また日常的な家族ルールが決められ、子どもが誕生する準備を持つ期間となります。

・第二段階 出産、育児期(乳幼児、児童のいる家族)

この段階は、親子関係を確立し、養育に専心し、子育てをする期間となります。

・第三段階 青年期の子どものいる時期

この段階は、青年期の子どもが、同世代の友人たちと交流したり、自立を目指すための援助をする時期となります。
また、中年期の夫婦の課題にも向きあい、それぞれの親への関わりもテーマとなる期間です。

・第四段階 子どもの離脱の時期

この段階は、子どもが自立して家を離れ、夫婦同士のシステムをもう一度見直す時期となります。
また、それぞれの親の死に対することもある期間です。

・第五段階 老年期の夫婦の時期

定年退職など、社会的役割から引退し、親子関係に変化がみられたり、配偶者の死にも直面する時期です。

個人の発達課題が、その時期に達成されなければ、次の段階へと先送りされてしまうように、家族の発達段階においても、その時に果たせない課題が残っていると、後になってから対処しきれないほどに膨れ上がっていることがあります。
そんな時に、家族のメンバーの誰かが問題を起こす、といったことが起こるのです。

この時には、家族システムが固定化されているために、当事者たちの努力だけでは悪循環に陥ってしまう可能性が高くなります。
このような場合に、家族療法の専門家の介入が必要となるのです。

  


Posted by aurevoir at 20:39親子関係と家族療法

2013年01月22日

親子関係と家族療法について

こちらのブログでは、「親子関係と家族療法」をテーマに、さまざまな親子の問題や家族関係を改善する方法などについて、綴っていきたいと思います。

まず、「家族療法」について、ご紹介したいと思います。

家族療法(家族カウンセリング)は、1950年代よりアメリカで生まれた心理療法の1つです。
家族のメンバーを対象とした療法として、グループカウンセリングと共通した部分もあります。

家族療法には、10以上の流派があると言われていますが、そのどれもが「家族システム」理論に基づいています。
これは、家族を一つのシステムと考え、個人よりもシステム全体を対象とした心理療法を行う方法です。
この方法では、問題を起こした個人を患者と決めつけるのではなく、「家族の問題を症状として現した人」として、家族の「関係の問題」と捉えていくのです。

この考え方は、当初、症状を現していた子どもが元気になっても、次に父親に症状が現れる、といったことが起こったり、せっかく良くなった患者が、家に帰るとまた症状がぶり返したり、といった問題が起こることに気付いた精神科医の研究から始まりました。

そして試行錯誤の結果、これまで個人を対象としてきた心理療法を、家族療法という、家族システム全体にまで対象を広げて実施するようになったのです。
また、その成果として、家族のホメオスタシス(恒常性)という特性に原因があることが発見されました。
  


Posted by aurevoir at 20:20親子関係と家族療法