2013年08月10日

オキシトシンについて

前章では、人の脳内物質が心に影響を与えているという話題をお届けしました。

中でも、セロトニンが全てのバランスをとっていること、眠りや精神安定に関わっていることをご紹介しました。

今回は、脳内物質のオキシトシンについてご紹介したいと思います。


オキシトシンは、セロトニンとも関連し合っており、人が他人に幸福を分け与えたいと思う時に分泌されるホルモンといわれています。

もともと、母性のホルモンとして医学の分野では昔から活用されてきました。

母乳を分泌させたり、子どもを守り育てようとする本能的な心のはたらきは、このオキシトシンが関係しているのですね。

中には、育児放棄や母親のうつなどの例も見られますが、そのような場合には、母親の脳内ホルモンが乱れていないかどうかをチェックし、セロトニンやオキシトシンのはたらきを高めるような対処を施すことも有効といえるでしょう。

また、親子関係や家族内に何かストレスがある場合、心の症状が起こっている場合には、このオキシトシンの分泌に目を向けることも必要なことです。


このオキシトシンは、母子関係だけでなく、年齢や性別に関わらず分泌されるホルモンであることがわかっています。

恋愛関係にもオキシトシンが関わっており、男女の愛情や信頼関係に大いに影響を与えています。

また、仲間同士が一緒に食事をとったり、お酒を飲んだりする場面でも、オキシトシンが分泌されています。

ですので、仕事関係で飲みに行ったりするのも、心を開いて信頼関係を持つためには、有効だといえるでしょう。

オキシトシンが分泌されると、相手に対する親近感がわき、相手を喜ばせることが自分にとっても幸福に感じられるようになります。

私たち現代人には、とても重要なホルモンの一種といえるでしょう。
  


Posted by aurevoir at 14:49親子関係と家族療法

2013年08月10日

セロトニンと心のはたらき

最近、脳内物質が人の心のはたらきを司っていることを調べていました。

近年の心の医学でも、脳内物質で心のはたらきを説明し、脳内の神経伝達物質をコントロールすることで、心の症状を改善させようとする傾向が主流となってきているようです。

親子関係や家族療法でも、ストレスによる脳内物質の改善が必要となる場面があることでしょう。


人の脳内物質でも、最も重要なのがセロトニンといわれています。

これは、脳内のバランスをとるためにはたらくホルモンで、特に睡眠リズムや精神安定のためには欠かせないホルモンなのですね。

朝目覚めて、光を浴びて活動することで、このセロトニンが活性化され、夜になると自然に眠くなって眠りにつきます。

この、自然な眠気を起こさせるのはメラトニンですが、このメラトニンもセロトニンが分泌されることで、はたらきが起こるようになっています。

人の脳のメカニズムとは、うまくできているものですね。


また、セロトニンが不足すると心身のバランスを崩してしまい、不眠うつなどの症状を起こしやすいといわれています。

セロトニン不眠うつ


セロトニンを上手に補うには、食べ物からも摂ることができますし、生活習慣を整えることもひとつです。

ただ、あまり意識しすぎなくても、普段から健康的な生活を送っている人は、セロトニンが不足することはあまりないといえます。

生活習慣が不規則だったり、運動不足だったり、食事が偏っていたり、ストレスが大きい場合には、脳内物質の乱れを見直すことも必要でしょう。

また、心の病にかかってしまった時には、この脳内物質を整えるように生活を工夫したり、病院で薬を処方してもらったり、サプリメントなどで補うようにするといいでしょう。


さらに、日常生活の中で親子や家族関係が良好であることも、脳には大きく影響します。

次の章では、親子・家族関係と脳内物質について、もっと詳しく見ていくことにしましょう。
  


Posted by aurevoir at 14:32親子関係と家族療法

2013年04月22日

母娘関係の根源性について

母と娘の結合について見てきましたが、もうひとつ、不思議ともいえるパターンについて述べていくことにしましょう。

娘は母と同姓であることから、母に同一化しやすい反面、母親の影を生きさせられることもよくあることです。

ひとつの例ですが、ある女子中学生が登校拒否をし、そのうち母親に対して暴力をふるい始めます。

母親は耐えかねて父親に訴え、今度は父が娘を叱るのですが、娘は父親にも食ってかかり、殴り合いにまで発展して相談に訪れました。

そこで、母親は、娘が父親に当たり散らしていることは、本当は自分が夫に対してやりたかったことではないか、という事実に気づきます。

母親は、夫に従うことをよしとし、言いたいことをこらえて、ひたすら仕えることが女としての生き方だと信じていました。

ところが、その間に無意識に貯めこまれたものを、そのまま娘が引き受けていたのです。

娘も、そのことをわかっているのではなく、わけもわからず両親に文句を言い、やり場のない感情をぶつけていただけなのです。

母親は、自分の問題であることに気付いた後は、夫とも話し合ったり、ぶつかり合ったりをし、これを続けていくうちに娘の問題はすっかり消えてしまいました。

娘に背負わせていた自分の影を、母親が自らのこととして引き受けることによって、家族の問題が解決していったのです。

母娘関係は、根源的なものであると同時に、母親自身が成長していくためにも、こうして起爆剤としてはたらく性質を持っているのです。  


Posted by aurevoir at 10:20親子関係と家族療法

2013年04月21日

母娘関係とギリシャ神話

母と娘の関係というのは、根源的なものであることを見てきました。

この母娘関係が根源的、普遍的であることは、ギリシャ神話にも見て取れます。

ギリシャ神話の有名な物語に、ハーデースがペルセポネーを地下の世界に奪っていくというものがあります。

これは、大地の女神であるデーメーテールの娘、ペルセポネーが野に花を摘んでいる時に、冥界の王であるハーデースが突然地下から現れ、彼女を強奪して去るというものです。

娘を失ったデーメーテールは嘆き悲しみ、そのために地上のすべての植物は枯れ果ててしまいます。

その後、デーメーテールは娘を探しに出かけ、ギリシャの主神ゼウスのはからいにより、デーメーテールとハーデースの間に和解が生じます。

この神話の中には、母娘結合の文化について、そしてそこに男性が侵入してくる過程が描かれています。

そして、それは凄まじい光景を伴っていることも注目すべき点です。

このことを私たちに置き換えてみると、娘は母との結合を断ち切るためには、その内界においてハーデースの侵入を受け入れなければならないことになります。

思春期の娘が、母に対して批判や攻撃の目を向けるようになるのは、このためなのです。

このような時期を経た後で、娘は母性を受け入れ、結婚という人生のステップを歩むことになります。  


Posted by aurevoir at 18:10親子関係と家族療法

2013年04月21日

母娘関係と摂食障害2

母娘関係が、摂食障害につながることについて、述べてきました。

子どもというのは、男女の別はなく、母親との結びつきが最も大切なことになります。

この結びつきは、動物的なものであるといってもいいでしょう。

どの子どもも、例外なく、母親の肉体を通してこの世に生命を受けます。

それゆえに、私たちの意識以前の深い次元の領域に、母と子の結びつきがあるといえます。

思春期までいい子として育ってきた娘が、この時期に食物の摂取という、人間にとって根源的な次元において、母娘の結合の在り方を再確認することを、言葉にはならない症状という形で、真剣に問いかけているともいえるでしょう。

このような娘の真の問いかけに応えるためには、家族療法のカウンセラーなど、治療者の助けを借りながら、母も娘も共に努力をしていくことが大切です。

しかし、それはただ単に表面的に母親が娘を世話すればよいという話にはなりません。

娘の症状を通して、母親自身が自分の生き方や価値観をふり返り、自分が今までに娘に与えてきた影響を理解し、そこから道を探っていくことが必要になります。

それは、人生を築き上げてきたと思われる母親が、娘を通して自分の生き方を変えていく、再構築する過程でもあり、なかなか困難を究める道でもあるといえるでしょう。

  


Posted by aurevoir at 15:18親子関係と家族療法

2013年04月21日

母娘関係と摂食障害

親子関係において、最も根源的ともいえるのが母と娘の関係だといえます。

最近は、この母娘関係の歪みと見られる問題から、家族療法の相談に訪れるパターンも増えています。

その1つの例が、摂食障害です。

これは、思春期から成人あたりの女性に多く見られる症状で、戦後は若い男性にも見られるようになりました。

元々スタイルにそれほど問題はなく、知的な雰囲気の若い女性が、自分の見た目をひどく気にするようになり、痩せ願望から減食をし、異常なまでに痩せてしまうといった症状がよく見られます。

それまでは、親の言うことにもよく従い、いい子であったのに、親の意見を受け付けず、食べ物を拒否するようになります。

無理に食べさせようとすると、今度は嘔吐してしまうようになります。

そのうちに月経も止まり、見た目にも痩せすぎで、家族が困り果てて相談に訪れるようになります。

摂食障害の場合は、本人はただ痩せることに執着をしているだけで、自分に問題があるとは感じていないことが多いものです。

本人は、痩せることで自分が美しく価値のある人間だと感じられるので、もっと減食をして痩せようとすら思っています。

これは、医学的には、近年先進国において増加してきたノイローゼの一種とされています。

かつて、一世を風靡した、カーペンターズのカレン・カーペンターが、この摂食障害で命を落としています。

家庭的な特徴としては、母親がバリバリと強いイメージで、父親はやや影の薄いタイプがパターンとして見られます。

これといって欠点のない家庭に見えますが、ここには、娘が母親に土着的な身体性を感じられなかったことが、見て取れます。

本来、母親というのは善悪を越えて子どもを受け入れ、その存在を全肯定するはずです。

それが、何かと娘を判断し、よい成績を取り高い学歴を獲得することや、現代的なキャリアを身につけること、高い収入を得ることなどを期待したり、母親の夢や願望を一方的に押し付けるような態度を取ることで、娘は女性としての自分を否定し、身体性を否定するようになるのです。

摂食障害は、放っておくと死に至ることもあることから、自らの生命さえ否定しようとする行為だと言っても過言ではありません。

参考サイト: 摂食障害

  


Posted by aurevoir at 12:21親子関係と家族療法

2013年03月09日

家族問題の背景

現代日本の家族像は、戦後以来、大きな変化を経てきました。

戦前は、家父長制が一般的な家族の形態を築いており、一家は父親によって統率される大家族でした。

戦後になると、民主的な社会の下でみんなが自由を獲得したような傾向になり、大家族の影響を受けない核家族が増えていきました。

当初は、これが進歩的なモデルであり、国民にとって理想的な形と思われました。

核家族になれば、夫婦は好きなように生活スタイルを決め、子育てについても自分たちの方針を周囲から干渉されることが少なくなりました。

日本の高度経済成長は、夫婦共働きによる中流家庭を一般化し、それまでになかったほど物質的、経済的に豊かな家庭像が現れるようになったのです。

女性の社会進出もめざましく、それまで家庭の主婦に収まっていた女性たちが、自立を獲得できる時代にもなりました。

このように、戦後の日本社会は、進歩と発展に向けて急速に成長を遂げていきました。

ところが、西洋的な核家族のモデルを表面的に取り入れたために、土台がなく、不安定な家庭の在り方ができ上がってしまったともいえます。

子どもの家庭内暴力という問題は、このような家族の脆さを一気に露呈したといっても過言ではないでしょう。

子どもが葛藤なく、健全に成長していくための土台が、そもそも築かれていなかったともいえるのです。
  


Posted by aurevoir at 21:07親子関係と家族療法

2013年03月09日

家庭内暴力について

家庭内暴力のニュースが頻繁に報道されるようになってから、ずいぶん久しくなりました。

これも、家族療法では大きなテーマになる問題です。

昔は家庭内暴力とえば、権威的な父親が母親や子どもに対して暴力を振るう、といった行為が一般的でした。

しかし、現代になってからは、子どもが親に対して暴力を振るうという図式が顕著になっています。

家族療法においても、親が相談に訪ねてきて、息子や娘に暴力を振るわれている、と打ち明ける例が後を絶ちません。

それも、親だからと手加減するのではなく、時に身の危険を感じるほどの激しい暴力となって現れることがあるのです。

特に、息子が中学生・高校生と体が大きくなるにつれ、父親が応戦しても負けてしまうことがあります。

こうなると、子どもの暴力はとどまるところを知らなくなります。

一方で、子どもの担任の先生に尋ねると、その子どもは模範的な「良い子」である場合が多く、傍目には親に暴力を振るうようには見えないことが多いのです。

このような家族関係である時、家庭は情緒安定機能を果たす本来の家族ではなく、機能不全を起こしているといえます。

これらの家庭の両親は、決して子どもを甘やかしたわけではなく、両親ともにしっかりと働いて家庭を成立させてきたといいます。

それにもかかわらず、なぜこのような事態が起こってしまうのでしょうか。

そこには、現代の日本ならではの背景が横たわっているといえます。

この問題は決して特殊なものではなく、私たち現代日本人が等しく抱えている問題ともいえるのです。  


Posted by aurevoir at 20:55親子関係と家族療法

2013年03月09日

家族とは何か



そもそも、家族とは一体何でしょうか。

これは、社会学においても定義が難しいとされています。

私たちが家族と思っている共同体は、じつは日本という国の現代における家族制度の一形態にすぎません。

時代や国や地域によって、家族という概念はちがってくるといってもいいでしょう。

家族社会学では、家族のメンバー間の近親性、家を中心とする生活の共同性、その日常性などを、家族というものを規定する要素として考えています。

また、親子関係の一環である育児や大人の情緒安定機能を、家族に特有の機能として挙げている学者もいます。

しかし、家族療法の視点から家族について考えていく時、このどれかの要素が欠けている場合が多いことに気づくでしょう。

特に、大人にとっての情緒安定機能がうまくはたらいている家族というのは、稀であるともいえるところもあるでしょう。

家族によって問題や葛藤が起こり、苦痛を受けることも珍しくはありません。

そして、この家族機能の崩壊が、現代社会では大きなテーマといっても過言ではないのです。

現代の日本社会では、核家族が主な形態になっています。

ここでは、二世代間の親子関係や夫婦関係が築かれることになりますが、成員メンバーが少ないことで、直接的に衝突する
場面が避けられなくなっています。

そうしたことが、家族療法のニーズが高まっていることの背景ともいえるでしょう。

昔は祖父母や親戚、近所の人たちが介入することで丸く収まっていた家族関係が、それぞれが孤立しながら対立することで、より複雑化しているともいえるのです。
  


Posted by aurevoir at 19:51親子関係と家族療法

2013年02月24日

家族療法とカウンセリング

家族療法について知りたい、受けてみたい、と思う時は、全国に専門のカウンセリング、心理療法の専門機関から捜すことができます。

電話やメールなどで初回無料の所などもあるので、利用するのも良い方法です。

もっと継続して取り組みたい、という場合には、ご自分の地域からふさわしいカウンセリングルームやセラピーを捜すと良いでしょう。

保健センターなどで紹介してくれる場合もありますし、インターネットなら事前に情報がわかるので便利といえます。

ご自分に合った、信頼できるサポートをみつけておくと、いざという時に頼りになることでしょう。
  


Posted by aurevoir at 12:20親子関係と家族療法

2013年01月22日

家族が変化するとき

家族療法で問題に対応する時には、その問題や症状のみにアプローチするわけではありません。

むしろ、家族や親子関係というものに焦点を当て、その全体を対象としてカウンセリングを試みます。

大事なことは家族のメンバーの中で犯人探しをすることではなく、家族全体のバランスのとり方や変化の仕方を伝えていくことです。

もし、家族の中で子どもが問題を起こした時には、それが家庭の外、例えば学校でのいじめなどの問題行動だった場合にも、その行動そのものではなく、家族や親子関係という背景を見ていくことが大切です。

したがって、家族療法の療法家は、家族全体のシステムについて理解していくことが、とても大きなカギとなります。

大人とちがい、子どもは自分の意思で環境を変えることができず、親子関係や環境の影響を受けやすいため、家族の問題を一身に受けて、なんらかの症状として現すことが多いものです。

知らないうちに、親の都合や感情的な衝突などが、子どもには大きなストレスや脅威となっていることもあるでしょう。

子どもにとっては、生まれてから身近に関わっている家族の存在は、とても大きなものです。

例え、保育園・幼稚園や小学校などで集団生活に馴染んでいき、中学・高校と学外活動などで家を離れる時間が増えていくとしても、精神的・心理的な基盤が家庭であることは事実です。

それは、無意識に刷り込まれていることが多く、子どもが親の行動や言動をいつの間にか模倣し、良い面も悪い面も同じように吸収して表現することがあります。

このように、家族療法では親子の相互関係を読み解いていくことが、とても重要です。

  


Posted by aurevoir at 21:12親子関係と家族療法

2013年01月22日

家族の発達について

親子関係と家族療法について、次に「家族の発達」というテーマについて綴っていきたいと思います。

人には、生まれてから幼年期、思春期、青年期、成人期と、発達の過程があります。
家族にも、これと同じように発達課題があると、家族療法では捉えられています。

その段階は、以下のようになります。

・第一段階 新婚期(結婚から第一子の誕生まで)

この段階は、結婚適齢期に達した男女が実家から自立し、夫婦関係を築くこと、また日常的な家族ルールが決められ、子どもが誕生する準備を持つ期間となります。

・第二段階 出産、育児期(乳幼児、児童のいる家族)

この段階は、親子関係を確立し、養育に専心し、子育てをする期間となります。

・第三段階 青年期の子どものいる時期

この段階は、青年期の子どもが、同世代の友人たちと交流したり、自立を目指すための援助をする時期となります。
また、中年期の夫婦の課題にも向きあい、それぞれの親への関わりもテーマとなる期間です。

・第四段階 子どもの離脱の時期

この段階は、子どもが自立して家を離れ、夫婦同士のシステムをもう一度見直す時期となります。
また、それぞれの親の死に対することもある期間です。

・第五段階 老年期の夫婦の時期

定年退職など、社会的役割から引退し、親子関係に変化がみられたり、配偶者の死にも直面する時期です。

個人の発達課題が、その時期に達成されなければ、次の段階へと先送りされてしまうように、家族の発達段階においても、その時に果たせない課題が残っていると、後になってから対処しきれないほどに膨れ上がっていることがあります。
そんな時に、家族のメンバーの誰かが問題を起こす、といったことが起こるのです。

この時には、家族システムが固定化されているために、当事者たちの努力だけでは悪循環に陥ってしまう可能性が高くなります。
このような場合に、家族療法の専門家の介入が必要となるのです。

  


Posted by aurevoir at 20:39親子関係と家族療法

2013年01月22日

親子関係と家族療法について

こちらのブログでは、「親子関係と家族療法」をテーマに、さまざまな親子の問題や家族関係を改善する方法などについて、綴っていきたいと思います。

まず、「家族療法」について、ご紹介したいと思います。

家族療法(家族カウンセリング)は、1950年代よりアメリカで生まれた心理療法の1つです。
家族のメンバーを対象とした療法として、グループカウンセリングと共通した部分もあります。

家族療法には、10以上の流派があると言われていますが、そのどれもが「家族システム」理論に基づいています。
これは、家族を一つのシステムと考え、個人よりもシステム全体を対象とした心理療法を行う方法です。
この方法では、問題を起こした個人を患者と決めつけるのではなく、「家族の問題を症状として現した人」として、家族の「関係の問題」と捉えていくのです。

この考え方は、当初、症状を現していた子どもが元気になっても、次に父親に症状が現れる、といったことが起こったり、せっかく良くなった患者が、家に帰るとまた症状がぶり返したり、といった問題が起こることに気付いた精神科医の研究から始まりました。

そして試行錯誤の結果、これまで個人を対象としてきた心理療法を、家族療法という、家族システム全体にまで対象を広げて実施するようになったのです。
また、その成果として、家族のホメオスタシス(恒常性)という特性に原因があることが発見されました。
  


Posted by aurevoir at 20:20親子関係と家族療法