2013年03月09日
家族とは何か

そもそも、家族とは一体何でしょうか。
これは、社会学においても定義が難しいとされています。
私たちが家族と思っている共同体は、じつは日本という国の現代における家族制度の一形態にすぎません。
時代や国や地域によって、家族という概念はちがってくるといってもいいでしょう。
家族社会学では、家族のメンバー間の近親性、家を中心とする生活の共同性、その日常性などを、家族というものを規定する要素として考えています。
また、親子関係の一環である育児や大人の情緒安定機能を、家族に特有の機能として挙げている学者もいます。
しかし、家族療法の視点から家族について考えていく時、このどれかの要素が欠けている場合が多いことに気づくでしょう。
特に、大人にとっての情緒安定機能がうまくはたらいている家族というのは、稀であるともいえるところもあるでしょう。
家族によって問題や葛藤が起こり、苦痛を受けることも珍しくはありません。
そして、この家族機能の崩壊が、現代社会では大きなテーマといっても過言ではないのです。
現代の日本社会では、核家族が主な形態になっています。
ここでは、二世代間の親子関係や夫婦関係が築かれることになりますが、成員メンバーが少ないことで、直接的に衝突する
場面が避けられなくなっています。
そうしたことが、家族療法のニーズが高まっていることの背景ともいえるでしょう。
昔は祖父母や親戚、近所の人たちが介入することで丸く収まっていた家族関係が、それぞれが孤立しながら対立することで、より複雑化しているともいえるのです。
Posted by aurevoir at 19:51
│親子関係と家族療法