2013年04月21日

母娘関係と摂食障害

親子関係において、最も根源的ともいえるのが母と娘の関係だといえます。

最近は、この母娘関係の歪みと見られる問題から、家族療法の相談に訪れるパターンも増えています。

その1つの例が、摂食障害です。

これは、思春期から成人あたりの女性に多く見られる症状で、戦後は若い男性にも見られるようになりました。

元々スタイルにそれほど問題はなく、知的な雰囲気の若い女性が、自分の見た目をひどく気にするようになり、痩せ願望から減食をし、異常なまでに痩せてしまうといった症状がよく見られます。

それまでは、親の言うことにもよく従い、いい子であったのに、親の意見を受け付けず、食べ物を拒否するようになります。

無理に食べさせようとすると、今度は嘔吐してしまうようになります。

そのうちに月経も止まり、見た目にも痩せすぎで、家族が困り果てて相談に訪れるようになります。

摂食障害の場合は、本人はただ痩せることに執着をしているだけで、自分に問題があるとは感じていないことが多いものです。

本人は、痩せることで自分が美しく価値のある人間だと感じられるので、もっと減食をして痩せようとすら思っています。

これは、医学的には、近年先進国において増加してきたノイローゼの一種とされています。

かつて、一世を風靡した、カーペンターズのカレン・カーペンターが、この摂食障害で命を落としています。

家庭的な特徴としては、母親がバリバリと強いイメージで、父親はやや影の薄いタイプがパターンとして見られます。

これといって欠点のない家庭に見えますが、ここには、娘が母親に土着的な身体性を感じられなかったことが、見て取れます。

本来、母親というのは善悪を越えて子どもを受け入れ、その存在を全肯定するはずです。

それが、何かと娘を判断し、よい成績を取り高い学歴を獲得することや、現代的なキャリアを身につけること、高い収入を得ることなどを期待したり、母親の夢や願望を一方的に押し付けるような態度を取ることで、娘は女性としての自分を否定し、身体性を否定するようになるのです。

摂食障害は、放っておくと死に至ることもあることから、自らの生命さえ否定しようとする行為だと言っても過言ではありません。

参考サイト: 摂食障害




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