2013年03月09日

家庭内暴力について

家庭内暴力のニュースが頻繁に報道されるようになってから、ずいぶん久しくなりました。

これも、家族療法では大きなテーマになる問題です。

昔は家庭内暴力とえば、権威的な父親が母親や子どもに対して暴力を振るう、といった行為が一般的でした。

しかし、現代になってからは、子どもが親に対して暴力を振るうという図式が顕著になっています。

家族療法においても、親が相談に訪ねてきて、息子や娘に暴力を振るわれている、と打ち明ける例が後を絶ちません。

それも、親だからと手加減するのではなく、時に身の危険を感じるほどの激しい暴力となって現れることがあるのです。

特に、息子が中学生・高校生と体が大きくなるにつれ、父親が応戦しても負けてしまうことがあります。

こうなると、子どもの暴力はとどまるところを知らなくなります。

一方で、子どもの担任の先生に尋ねると、その子どもは模範的な「良い子」である場合が多く、傍目には親に暴力を振るうようには見えないことが多いのです。

このような家族関係である時、家庭は情緒安定機能を果たす本来の家族ではなく、機能不全を起こしているといえます。

これらの家庭の両親は、決して子どもを甘やかしたわけではなく、両親ともにしっかりと働いて家庭を成立させてきたといいます。

それにもかかわらず、なぜこのような事態が起こってしまうのでしょうか。

そこには、現代の日本ならではの背景が横たわっているといえます。

この問題は決して特殊なものではなく、私たち現代日本人が等しく抱えている問題ともいえるのです。



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